第6話・再会
狩りを終えて、匠の工房に帰ってきた愛樂と月姫。
「ただいまー!今日はたくさん狩って来ちゃった♪」
「月姫が頑張ってくれたお陰ですわ!ありがとうございました♪」
汗を拭う愛樂。
しかし、その手が止まる。
「え……?」
愛樂は匠の横を見て固まる。
「愛樂、どうしたの?」
月姫が問いかける。愛樂はプルプルと震え出す。
「あっ、そのっ……お会いできて何よりっ!」
愛樂の視線は、匠の横にいる人物に注がれた。青年だ。
「はは、元気そうで良かった。そちらの女性は?」
青年は月姫の方を見ている。
「!」プイッ
月姫は慌ててそっぽを向く。
「あらあら、月姫。そんなに警戒しなくても大丈夫ですわよ。この方は、私の命を救ってくださった勇敢な―」
「嫌あああああっ!コイツ嫌いぃぃぃっ!」
愛樂が説明するも、月姫は聞かず、工房の奥へと消えてしまった。
「……月姫っち、ご乱心」
「すみません……こんなつもりでは」
「いいや、構わない。まあ、少し残念だが……その、今日は君に会える気がして」
青年は少し照れたように言う。しかし、横で見ている匠はつまらなそうだ。
(何だよ、良い雰囲気になりやがって……愛樂ちゃんの魅力に気付いたのは俺の方が先のはず!)
「私に?……こちらこそ、お会い出来て嬉しいですわ。お名前も聞けていませんでしたから」
愛樂の胸が高鳴る。
(まさか、こんなにも早く会えるだなんて。私が強くなった証拠かしら?)
「そう言ってもらえて俺も嬉しいよ。名前……守(まもる)だ。この世界での職業もディフェンダーをしている。君は?」
「私は愛樂ですの。職業はまだ未定ですわ」
(ディフェンダーとかカッコ良すぎません!?それこそ私のナイトに相応しいではありませんか!)
「そうか。愛樂はここに居候しているんだよな?」
「ええ。そうですわ。しばらくの間ですけれど」
「分かった。しばらく俺もここに通わせていただこう」
完全に取り残された匠。
(……本当はここ、俺の店なんだけどなぁ)