第7話・姫と騎士、対立す
工房の2階の一部屋で、月姫は悩んでいた。
(どうしよう……あの男、完璧に愛樂のこと狙ってる目つきしてたっ!愛樂は私が守るんだもん……あんな穢れた生き物に愛樂が取られるなんて考えられない!)
そこへ。
「月姫、愛樂ですわ。入ってもよろしくて?」
「……」
ガチャッ
扉が開くと同時に、
ボフッ
「愛樂っ!」
月姫に抱き着かれる愛樂。
「ど、どうしたんですの!?」
「愛樂……あの男には気を付けて」
「?な、何故ですの?」
「一見真面目そうに見えるけど、すっごく変な性格してそう!」
……( ・ω・ )?
「え?」
「愛樂まで変な人間になったら、私泣くだけじゃ済まないと思う」
「……うーん、何言ってるかサッパリ」
「とにかく、あの男を見た瞬間私はアイツと敵対するって決めたの!」
「そ、そんな無茶苦茶なっ!?」
「姫に二言は無いわよ!( ・´ー・`)」
何故かドヤる月姫。そして、彼女は覚悟を決めたように部屋の外へ……
「ちょっ、状況の判断が追いつきませんの!お待ちなさい、月姫っ!」
慌てて追おうとするものの、愛樂は走るのが苦手で、すぐに力尽きてしまう。
「ぬおお……早すぎますわ、追いつけない」
姫と騎士が対立。波乱の予感……
その日の夜。
「何だ?いきなり呼び出したりして」
「貴方、私と勝負よ!」
月姫がある者を呼び出した。
「はぁ?どうして俺が……」
守だ。まあお分かりですよねw
「決まってるでしょ?愛樂を巡って勝負よっ」
「なっ……面倒なことするなよな。愛樂は皆の物だろうが」
「はぁ!?何その正義ぶったセリフ!どうせ貴方愛樂のこと狙ってるんでしょう!?下心見えてんのよバァカ」
「……っ!愛樂のことが気になっているのは認めるが何だ、下心とか微塵も無いぞ!?」
「はいはい。口ではそう言ってますけど、顔見たらマヌケ面でしたよーだっ」
バチバチバチッ……!
「証拠写真は無いんだろ?」
「くっ、そんなものあるわけ無いでしょう!?」
「フッ」
▷守は挑発した!
▷月姫、怒りゲージMAX!
「くっ……何も言い返せないわ!こうなったら、愛樂へのプレゼントで勝負よ!愛樂がより喜ぶプレゼントを持ってきた方が勝ちにしましょう」
「望むところだ!」
▷月姫は挑発した!そして華麗に部屋を去る!
しかし、その直後。守は思った。
(二人して大人気なさすぎる……俺達馬鹿じゃん)
だが、月姫に言ったら怒られそうだ。心の中にそっと秘めておこう(墓前まで)。
愛樂と匠そっちのけで始まったプレゼント対決!
果たして、勝敗はどちらか!?