第9話・プレゼント(守編)

~守side~

月姫が自己中にプレゼントを決めてしまった一方で、守は愛樂へのプレゼントをじっくりと考えていた。

「商品ありすぎるな……これはすぐには選べないぞ」

愛樂の好きそうな頭装備、武器……色々見てみたが、予算が足りなかったり、買おうとした瞬間に他の人に買われたり。

「くそっ、情けなさすぎる!はぁ、どうしたらいいんだ……」

ため息をつく守の所に、

「何、悩んでるんです?お兄さん」

双剣を装備した幼女がやってきた。

「彼女とでも別れたんですか?」

「っ、違う!意中の方へのプレゼントを選んでいてな……」

「へぇ。彼女いないんですね、まあ平均的な顔ですからね……はぁ」

ため息つくなよーっ!?。゚(゚´ω`゚)゚。

って思ったが、我慢我慢。相手は幼女だぞ?

「お兄さん。ひとつ言っておきます。大切なのは、笑顔ですよ」

「笑顔?俺の?」

「んなっ、貴方の笑顔なんて正直どうだっていいです。男にニコッてされても困るだけですし」

一言余計な幼女だ……
しかし、幼女は続ける。

「その、意中のお方を笑顔にさせること……それが貴方の使命なんだと思います。あ、修行の時間に遅れそうなので失礼します!(小声で)うわっ、時間食ったー」

「おい、聞こえてるぞ」


パタパタと去る少女。一言余計なところを除けば凄く可愛いのだが。

でも、良い事を聞いた。

愛樂を笑顔にすること。

俺は愛樂のことをまだ全然知らない。

笑顔にすることなど、出来ないのかもしれない……でも、あいつならどうだろうか?



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俺よりも愛樂のことがより好きかもしれなくて、愛樂のことをより知っているかもしれなくて、より愛樂に愛されているかもしれない……月姫ならば。

月姫は戸惑うかもしれない。それでも、愛樂が笑顔になるという自信がある。


「そうだ。クッキーでも焼いて持ってくかな」


愛樂。俺は正直、君が月姫を選んだとしても黙って受け入れる。

もし、万一月姫をプレゼントにしたことで愛樂に嫌われてしまったのであれば、俺は潔くこの街から消える。





はっきりとした意思表示を固める守。しかし、彼もある意味では子供だった。



彼は、恋をしていることに気づいていない。恋という物すら知らないのかもしれない。