第5話・突然の来訪客
朝。朝食後、愛樂達を見送った匠は店の開店準備を始めた。
「愛樂ちゃんと月姫っち、頑張ってるな。俺も頑張んなきゃなー!」
リバイタ、リジェール、アドマジクルなどの薬品を並べる。これらの薬品は冒険に欠かせない(……という人もいる)。
「リバイタⅣが足りなくなってきたか……さて、作るかな」
匠が作業台につこうとする。
そこへ、
「すまない……リバイタを売ってくれないか!?」
酷い怪我を負った冒険者が店にやってきた。どうやら青年のようだ。顔は血だらけで、盾や剣にも大きな傷がある。
「あいよっ!てかお客さん大丈夫か?すんげぇ痛そうだけど……リバイタⅤでいい?」
「ああ。助かる」
「大量買いならお安くしとくぜ?」
「20000スピナ置いていく。この分だけ頼む」
「おー!んじゃ、これくらい持ってきな!毎度ありぃ☆」
匠が言う間に背を向けてリバイタを飲む青年。
「おわっ、今飲んじゃった感じ!?味どう?実はこれ、味を変えた新作なんだぜ?」
青年が振り返る。男にしては白い肌。顔の怪我はだいぶ治っていた。
匠はこう思った。
(この人、綺麗な顔してんのな……愛樂ちゃんも月姫っちもこの人もみんな揃って美白とか何なん!?)
「そうか。美味だった。この味、かなり売れるんじゃないか?少なくとも、俺はまたここのリバイタを買いに来たい」
「おっ、お兄さんマジ!?是非是非来てくれよな!最近は可愛いガール達もイソーローしてるし♪旅始めたばっかりらしいけど、ガチでカワエエ♡」
「!?もしや、それは……いや、何でもない」
「何だよー、教えてくれたって良いだろ!?」
▷匠がジリジリと青年に詰め寄る。
▷青年は迷惑そうな顔をした!
▷効果はいまひとつのようだ……
「にっひっひー。さあ白状するんだな!」
「むぅ、面倒くさい奴だな……実はラカウを歩いていた時に、変わった少女に出会ってな。喋り方はお嬢様なのに、行動が全くお嬢様らしくないんだ」
匠はその少女に心当たりがあった。
(もしかして。いや、もしかしなくても、これは愛樂ちゃんのことだよな!?)
▷匠はどうする?
▷だます(あの某有名ゲームにこんな技なかったはず……)
※この小説はフィクションです。
「あー、それならあれじゃん?レウグ塩原の方に向かったんじゃね?」
「……ハハッ。それが、彼女はソフィアに向かうと言っていたからな。君のような人間がガールと言うくらいだから、あのようなお茶目な女性がここに来るかと思っていたんだ」
「そ、そうか……」
(『だます』が通用しなかった上に、コイツは某テーマパークの主人公的キャラかよ!?)
▷青年は凛々しい目でこちらを見ている
▷愛樂の帰りを待たせてあげますか?
▷(仕方なく)はい
「店の品物勝手に触んなよ?今お茶出すからちょい待ち」
「ああ。ありがたくいただく」
その頃、愛樂と月姫は。
「だいぶ慣れてきたんじゃない?武器の使い方、格段に上手くなったと思う」
「あら、そうかしら?嬉しいですわ、これからも精進して参りますわ」
月姫による指導によって、愛樂は戦力を増強させていたのだった。
「よし、あと1時間狩りしたら帰りますわよ?」
「ええ、頑張りましょ!」